HUB-SBA MAGAZINE

子育てしながら学ぶ。既にある文化を生かし、支援のポリシーを打ち出してほしい

2019年02月07日

これまでのコラム:

 

1月18日

 

12月13日

 

11月15日

 

10月9日

 

9月10日

 

8月20日

 
20180622_RengeJibu.jpg

   

昭和女子大学 現代ビジネス研究所 研究員
豊島逸夫事務所 副代表
治部 れんげ

 2016年の春、HMBA(現、経営分析プログラム)に入学して驚いたのは、子育てしながら通学している人が予想より多いことでした。3人の子育て中の女性、職場から派遣されて単身赴任で大学近くに住んでおり、これまで家事育児をきちんと分担してきた男性。留学生の中には国立市内の保育園や小中学校にお子さんが通っている方も複数いました。

20190207_in1.png 講義ではグループワークが多く、私生活の話も出てきます。ある時、自習室で作業していたら、妻が出産を控えているという男性から「保活」について尋ねられました。保活とは、保育園に入園するための準備や活動です。保育園の入園審査や地域特性などをお話しました。

 ある女性は、通学時間が1時間以上かかり、小学生のお子さんが朝、登校するのを見届けると、選択必修科目の1限に間に合わない可能性があると心配していました。幸い、担当の先生に話をしたら、やむを得ない理由で遅れた場合は、2限の同じ講義に出ても良いと言ってくれたそうです。

20190207_in2.png このように、子育てと仕事を両立しやすい雰囲気が学内にはありました。私も何度かグループワークに当時5~6歳だった娘を連れていったところ、よく遊んでいただきました。自身が子育て中の方も、そうではない方も、総じて子どもの相手が上手で、中でも親切にしていただいた方のことを、娘は時々思い出して「〇〇さん、どうしてるかな」と言っています。

 日本社会全体を見渡すと、社会人の学び直しが注目されていて、そこでは大学に対する期待も大きいです。子育てのみならず、介護をしながら学ぶ人もいるでしょうから、一橋大学全体として、学びと家庭生活を支援する姿勢をもっと公式に打ち出して欲しいと思います。

 また、私が経験したように、様々な事情を抱えた人を周囲が自然にサポートしてくれる文化は今後も続いてほしいものです。インクルーシブな文化は真似しようとしてもできない、重要な無形資産だからです。

治部 れんげ プロフィール

1997年、一橋大学法学部卒。日経BP社にて経済誌記者。2006~07年、ミシガン大学フルブライト客員研究員。2014年よりフリージャーナリスト。2018年、一橋大学大学院経営学修士コース(HMBA)修了。日経DUAL、Yahoo!ニュース個人、東洋経済オンライン等にダイバーシティ経営、女性のエンパワーメントについて執筆。現在、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。東京大学情報学環客員研究員。日本政府主催の国際女性会議WAW!国内アドバイザー。2019年日本が議長国となるG20の公式エンゲージメントグループWomen20(W20)運営委員。東京都男女平等参画審議会委員(第5期)。公益財団法人ジョイセフ理事。一般財団法人女性労働協会評議員。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社)等。2児の母。

HUB-SBA MAGAZINE