修了者の声

今西 直美さん
(2009年3月修了)

濃密な2年間の経験を仕事に活かす

なぜHMBAへの進学を決めたのでしょうか

私がHMBAを志望した理由としては、 経営学を体系的に学びたいと思ったこと、HMBAで学べる範囲の広さが自分にとって合っていると感じたこと、師事したいと思っていた先生がおられたことが挙げられます。

私は、HMBAに入学する直前まで、金融機関の人事部門で、採用、人事管理、人材開発など、幅広く担当してきました。現場での人事の仕事は大変面白く続けたいと思う一方で、会社における人事の役割-経営のパートナーとして今後人事を支えていくには、経営そのものの体系的な知識と理解が不可欠と強く感じるようになり、自分の不足点を補うための手段の一つとして、HMBAへの進学を考えました。
HMBAでは、経営のリテラシーを講義やケーススタディなどを通じて学び、経験することができます。入学を考えていたのは、社会人になってから10年を超えた頃で、この先のキャリアを考える上でも、実務からいったん距離を置いて、じっくり集中して経営を学ぶのにもよい機会だととらえていました。
さらに、HMBAでは、グローバルトップカンパニーの競争戦略だけでなく、日本の労働市場などの個別要素も加味した上での日本企業独自の戦略、さらに経営史や、経営哲学、経営者論など、歴史的見地や世の中の価値観・考え方と企業のあり方、経営者の育ち方といった、経営をあらゆる視点から多角的に掘り下げていきます。ケーススタディだけでなくいろんな事象を有機的につないで検証していく学び方のスタイルが私には合っていると思いました。
ちょうどその頃、守島基博先生が書かれた『人材マネジメント入門』という書籍に出会いました。この本を読んで、実務でモヤモヤしていた「点」の経験が、複数の「線」につながっていくのを感じました。そこで、守島先生のもとで人材マネジメントをしっかり学びたいと思い、HMBAを強く志望しました。

HMBA在学中はどのように毎日を過ごしていましたか

HMBAでの2年間は、ほぼ毎日、講義の有無にかかわらず、朝から国立キャンパスに通いました。講義は1日2〜3コマ程度でしたが、講義の合間に、グループ討議をしたり、自習室などでレポート作成をしていましたので、密度の濃い時間をすごしたと思います。

HMBAの1年目は講義中心で、「体系的に、網羅的に」「少しでも興味のあるもの」という観点から科目選択をしました。2年間という限られた時間のなかで、より多くの知識を早めにインプットして、研究につなげたいと思ったのがその理由です。結果的に1年目で集中的にインプットしたことが2年目のワークショップ論文の構成などにも活かす事ができ、よかったと感じています。
2年目はワークショップを中心とした生活でした。守島先生のワークショップでは毎週全員が進捗を報告し、意見交換する形で進められます。多様なバックグラウンドを持つメンバーからのアドバイスは、とても刺激のあるもので、論文の内容に厚みをもたせてくれるものになりました。毎週のワークショップをペースメーカーに、論文を仕上げていくことができました。
社会人学生にとって貴重だったのが、「夏季休業」などの長期休暇です。この期間、留学生主催の台湾ツアー、モンゴルツアーなどに参加し、現地の企業訪問や他の大学院生と交流をすることができました。
学期中の講義で事例として出ていた産業集積の地域に実際に足を運んで現地の人と交流したり、講義外に開催されていた勉強会に週1回有志で参加したりもしました。いずれも、学期中に学んだことを広げたり深めたりすることができて、今でも思い出に残るほど、充実した時間を過ごすことができました。

在学中に訪れた台湾研修にて

HMBAで学んできたことは、現在のお仕事に
どのように活かされていますか

現在は、日本の製造企業の経営企画部で中期経営計画を担当しており、HMBAで学んだことを、業務のあらゆる面で活かすことができていると感じています。

私が担当している業務では、例えば、現場で起きているさまざまな事象の要因分析などの場面で、限られた情報・時間のなかで、方向性を導出しなければなりません。このような制約の多い状況の中で、HMBAで獲得した「経営学の引き出し」は、具体的な状況を想像したり予測して仮説を立てて、検証していく作業の中でフル稼働しています。
また、HMBAでは、レポート作成を通じて、一定の枠内で要旨・伝えるべきことをまとめて、文章として残すトレーニングを積み重ねるので、文章構成力や表現力、言葉にこだわる力などが身につきました。この力は、様々な分析レポート作成だけでなく、中期経営計画を社内に浸透させる取り組みや、経営者メッセージの作成などの場面においても、非常に役立っています。

このように、HMBAでの学びは、卒業してから何年たっても、じわじわと、確実に活きてきています。先日のマーキュリー会(注:HMBA修了者の同窓会)の総会で、ある先生がおっしゃっていたHMBAの社会的役割を改めてかみしめつつ、学んだことや経験を新しい価値につなぎ、社会に役立てていけるよう、精進していきたいと思っています。

(2015年2月16日)