在学・修了者の声

太田 恭輔さん
(2024年3月修了)

全日制プログラムで多様性に富んだ仲間と多くの時間を共に

環境変化による危機感がMBA志望のきっかけ

img_detail14_01.jpg知友の柿元さん(左)

旅行会社に所属し法人営業としての実務経験を積む中、業界は新型コロナウィルス感染症のパンデミックによる甚大な影響を被りました。いわゆる「人流」が前提となる我々のビジネスにおいて、移動の規制は旅行という慣行の常識を根本から覆しました。こうした環境変化をつうじて、私は強烈な危機感と同時に自社の「戦略」を転換する必要性を感じました。その中でも関心を持ったのは、組織文化や風土、あるいは多様性や人そのものの価値です。顧客のリアルなお困りごとに迫り、かけがえのない存在になるために会社を変革したい。その変革を自分自身が実行するためには、競争戦略や組織論、ファイナンスや会計の知識、人材マネジメントなど、MBAのエッセンスが必要不可欠でした。

研究とビジネスの共通点

二年次のワークショップレポートでは、「女性活躍推進におけるデカップリング現象の検証」というテーマで研究を行いました。コーポレート・ガバナンスの仕組みをつうじて、グローバルなジェンダー平等の潮流を受けた企業がどのように女性推進のような社会的責任行動に関する戦略行動を行うのか分析したものです。これにはコーポレート・ファイナンスや組織論、ジェンダー社会学的な洞察視点やデータ・サイエンスまでをも含むように、まさにワークショップレポートは二年間で学んだ様々な分野や理論を超えてアカデミアたちの世界の研究の進歩を目指す知の総合格闘技だと感じました。

img_detail14_02.jpg軽部大ゼミの仲間と

研究でもっとも大変だったことは、テーマ決めでした。最初の数ヶ月はとにかく自分が何に興味を持つのか?何を明らかにしたいのか?に対して自問自答を繰り返す日々でした。さらに、研究テーマは自分の興味があるからだけではなく、しっかり学術的にも実務的にも社会に貢献できるものでなければなりません。当初私が提示していたテーマはいずれも、流行り言葉のように言われているトピックを扱ったものから、既に明らかである事実、その定量的なデータ分析を主眼としているように見えるもの、など研究の価値の低いものでした。数ヶ月、一年かけて取り組むのに相応しいテーマが決まり先生からOKをもらったときは、今考えれば執筆が全て終わった時よりもホッとした瞬間でした。

一見すると研究は実際の仕事とは異なる業(わざ)だと思われがちで、私も社会人を長く経験した者として同じように考えていました。しかしながら、指導教官の軽部先生から「研究もビジネスも等しく、これまで明らかになっていない課題を見つけ、先人の知恵を踏まえて自分なりに工夫し世の中へ問いかけを行い、それを繰り返す行為である」というお言葉をいただき、本当にその通りだなと思いながら一年間「研究生活」を送ることができました。今思えば、自身が手がけたテーマに関するナレッジが広がったのはもちろんのことですが、それ以上に自分の興味関心と心から向き合うことや、考え抜くこと、理論から現象を洞察すること、明らかになっていないリサーチ・ギャップを見つけることなど、そのプロセス自体から得られた学びも大きな成果です。

全日制ならではの学び

一年次は基礎科目を中心に、二年次は研究中心の生活でしたが、全日制で統計学や論理構成などの基礎をしっかり時間を掛けて学ぶことができたのは私にとって大変ありがたい環境でした。さまざまな経営理論の仕組みや現象のメカニズムを理解する上で、データや因果関係の経路を踏まえておくことはとても重要だと痛感しています。

img_detail14_03.jpg夏のゼミ合宿

また、この二年間では授業以外の学びの機会もいくつか得ることができました。例えば、株式会社リクルートの新規事業立案制度『Ring』には、2023年度に社外メンターとして参画し、関わった案件が準グランプリとなりました。他にも経営者講義Aや経営組織のティーチング・アシスタント、一年次の基礎ワークショップ最終発表会のコメンテーターも務め、一つ下の院生との交流や担当教員と近い距離で会話できた経験から多くの示唆を得ることに繋がっています。

そして、何よりこの全日制プログラムで多様性に富んだ仲間と多くの時間を共にすることができました。私は同じ境遇の企業派遣生、新卒の学生、留学生というそれぞれの目的や意思をもった人たちと沢山交流し、多くの刺激をもらいました。これは今後も大切な財産になります。MBA生活では目的意識さえあれば、素晴らしい仲間や教授陣、また美しいキャンパスと、ネットワーク全てにアクセスできる貴重な機会となるでしょう。

(2024年4月)