受講生の声

小柳 陽一朗さん
(2014年度入学)

財務・会計分野の専門性を高める

なぜHMBAに進学されたのでしょうか

私は大学卒業後、製造業の財務部で9年間働いていました。担当した業務では一定の経験を得られたと考える反面、自身の知識の範囲が狭いことが気がかりでした。そのような中で、社内の国内留学制度を紹介されたことをきっかけに、HMBAへの入学を志望しました。

私から見たHMBAの魅力は大きく分けて2つあります。1点目は、戦略論・組織論・財務などの体系的なカリキュラムが充実していることです。このことは、自らの知識を体系的に見直したい私のニーズにあっていると考えました。2点目は、多様なバックグラウンドを持つ学生が集まっていることです。これは、HMBAが他のMBAと大きく異なる点だと思います。自費および企業派遣の社会人、各大学からそのまま入学してきた新卒の学生、一橋大学出身の5年一貫コースの学生、各国の留学生などの様々な経歴の方がHMBAには揃っています。年齢層も20代前半から50代までと幅広く、経歴や考え方の全く異なる彼らと意見を交わしあう学生生活は、私にとって大変刺激的です。

入学後最も印象に残っている科目について教えてください

1年目の冬学期に受講した国際金融という科目が挙げられます。この講義の目的は、為替相場を中心とした国際金融に関する諸問題を取り上げて、これらの問題が理論的・実証的にどのように分析されているかを学ぶことです。講義の進め方としては、10月から11月頃までは為替相場の決定理論を毎週1つずつ学んだ上で、その理論についての実証分析に各自で取り組みました。12月以降は、通貨危機や欧州債務問題など、国際市場への影響が大きい諸問題を取扱いました。

この講義を受講して得られた主なものとして、次の3点があります。1点目は、実務に役立つ類の知識を身につけられたことです。為替管理の業務経験がある私にとって、この講義で紹介された理論には、実務でも使えるものが多いと感じられました。2点目は、実証分析の取り組み方の基本が身に着いたことです。毎週の課題をこなしていく中で、これらの手法を少しずつ学ぶことができました。特に、統計に関する知識の習得は、統計的資料を作る立場のみならず、それらを読み解く立場においても非常に役立ちます。3点目は、これからの国際経済を見通すための土台が身に着いたことです。このことは、企業の将来を考える上で大きな力になると思います。

この他にも、経営戦略や古典講読、経営組織、企業財務などの様々な科目を受講しました。約1年半の学生生活を経て、入学前に比べて確実に考え方の幅が広がったと実感しています。

今参加しているワークショップではどのようなことに取り組んでいますか

私は財務・会計ワークショップ(以下WS)を専攻しました。WSではメンバーが各自興味のあるテーマを選定し、4月から1月までの約10ヶ月間を通して1本のレポートを仕上げます。私が所属するWSでは、メンバーの半数ずつが隔週ごとに進捗状況を報告し、担当の先生や同席される研究者養成コースの方、他メンバーからのフィードバックを受けるという形で進められています。

WSのやりがいとしては、主に次の3点が挙げられます。1点目は、自分の興味のあるテーマを突き詰めて研究できる点です。私は製造業の為替リスク管理をテーマにしました。これは、よりよい管理方法がないかという、過去の業務経験の中で生まれた問題意識から来るものです。社内にいると自社のやり方が正しいと思ってしまいがちですし、日常業務の中で研究を進めることは容易ではありません。HMBAのWSでは、自分の視点を一旦ニュートラルにした上で、選んだテーマに納得のいくまで取り組むことができます。さらに、先生や他メンバーからの厳しい意見の数々は、研究を進める上で大変参考になっています。

2点目は、各メンバーの研究内容についての理解が深まることです。WSのメンバーが手掛ける研究の分野は多岐に渡ります。具体例として、格付け、M&A、事業撤退、不正会計などが挙げられます。それらの多種多様なテーマについて定期的に進捗を共有することは、完成した論文を後から読むだけでは得られない貴重な経験になります。

3点目は、WSへの参加を通じて、財務・会計分野における専門的知識が蓄積されることです。WSでは、世間で騒がれている様々な問題について、各自がそれぞれの立場から意見を交わします。さらに、一橋大学コラボレーションセンターが今年度(2015年度)から開催しているHFLP(一橋財務リーダーシッププログラム)の会合で、他企業の財務部門の方々が議論する場面に同席する機会もありました。これらは、財務・会計分野における専門性を高める上で大変役立っています。

現時点でどのような経営人材になることを目指していますか

HMBAで学んだ理論の数々を実務に活かすことで、会社の将来に貢献できる人材を目指したいと思います。今まで経験した財務に加えて、経営戦略や組織管理など、様々な部門で力を発揮したいと考えています。

(2015年11月12日)