HUB-SBA MAGAZINE

2023年度 経営分析プログラム修士2年生によるワークショップの中間報告会が行われました

2023年10月16日

9月8日、9日、16日に本学国立キャンパスにおいて、経営分析プログラム修士2年生によるワークショップの中間報告会が行われました。この報告会は、ワークショップレポート(修士論文)の中間報告を行うもので、研究の意義や先行研究を説明し、自らが立てた仮説とその検証方法について報告するものです。
ワークショップは4つのクラスに分かれており、今回の報告会は2クラス合同で行われました。ここでは、各クラスから1名ずつ報告内容を紹介します。


経営Aクラス(担当教員:軽部大 教授)
同クラス所属の発表者の研究課題:「女性活躍推進におけるデカップリング現象の検証」

この研究は企業での「女性の活躍」に関するもので、女性取締役については海外投資家が一定数以上を求める制度要求を背景に進捗しているものの、内部の中堅マネジメントへの登用は進んでいない、という現象を検証します。さらに、BtoC企業においては、顧客の要請が女性活躍に影響し得るか、について明らかにしていきます。

経営Bクラス(担当教員:坪山雄樹 准教授)
同クラス所属の発表者の研究課題:「イノベーションの成功要因に関する研究」

製造業におけるイノベーションについては、先行研究においていくつもの成功要因が挙げられていますが、本研究においては、それらの成功要因の最適な組み合わせを探ります。成功要因としては、「知識の深さ」「知識の広さ」「経営者のキャリア」「新規事業責任者の有無」に着目しています。それぞれ指標化し、大手製造業の成功要因について定量分析調査を行いました。今後は、さらに定性分析を進め、どのような要因の組み合わせが成功の確度を高めるかを明らかにしていきます。

金融クラス(担当教員:篠沢義勝 教授)
同クラス所属の発表者の研究課題:「実質無借金下において、保有現金は市場からどのように評価されるか?」

日本の実質無借金経営は現金の保有コストへの意識が薄く、成長性が低いという特徴があります。これらの要因は現金の市場評価額を下げるため、実質無借金下では保有現金は低く評価されます。この点について、果たして現金の株価収益率への影響は負となるか否か実証分析を行っています。

マーケティングクラス(担当教員:山下裕子 教授)
同クラス所属の発表者の研究課題:「雑誌掲載ネットワークにおける各ブランドの特徴が消費者の関心に及ぼす影響」

趣味性の高い領域でのスタートアップブランドやスモールブランドが「島宇宙」のように展開できる時代となりました。当研究では、多数のブランド間での顧客の認識や理解の構造の解明をテーマとしています。アウトドアブランドを対象に、雑誌への記事で同時に取り扱われるブランドのデータセットを作り、ネットワーク分析を行います。とりわけ、コアなファン層を持つガレージブランドに着目し、核となるブランドと雑誌掲載との関係をネットワーク図として追跡することで流行を先取りする力や他のブランドへの影響力などを読み解いていきます。


それぞれの中間報告会の最後に、各教員より講評がありました。

軽部大 教授
製品開発において「Rapid Prototyping」という考え方があるように、作業を前倒して事前に作りこんでいくことが大切です。特に、最後の製品上市の段階では追加的に膨大な作業が必要となるため、早い段階でまずは一度作ってみて、そこから計画的に改善を加えていく姿勢が大事です。ワークショップレポートの完成に向けたプロセスも同じです。適切な進捗管理を心がけてください。

坪山雄樹 准教授
中間報告は仮説を組み立てるところまでですが、これから検証をする段階へと進む中で荒波にもまれることになるでしょう。当初立てた仮説通りの結果が出ないこともありえますが、それも一つの結果です。なぜ結果が出なかったかを考えることが、次の研究への示唆になります。荒波の中で難破することなく、そうした結果もしっかりと解析することで航海を全うしてほしいと思います。

篠沢義勝 教授
この段階では、まずは一回転やってみるということが大切です。立てた仮説に対して何らかの結論を出してみて、その上でクオリティを上げていくのがこれからのプロセスになります。もし、まだそこまで行っていないとすると、学年末までに仕上げることが難しくなってきます。今日の報告会においてほかのメンバーの報告を聞いて、自分の進捗具合を今一度確認していただきたいと思います。

山下裕子 教授
各メンバーの報告を聞いて、現実課題に対して授業で学んだ概念を果敢に用いてチャレンジしている姿が印象的でした。このワークショップは、1年を通じて、アイデア企画から調査計画の立案、そして実行といった一連の研究活動をほかの人を巻き込みながら進めるもので、この経験はこれからのキャリア人生にも大いに生きると思います。経営分析プログラムは全日制なので、フルタイムで研究に打ち込める醍醐味を満喫しながら学年末に向けて仕上げていくことを期待しています。

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