HUB-SBA MAGAZINE

経営学を体系的に学問として学んでみたい

2025年06月25日

権堂 聖さん

2024年入学
権堂 聖さん

社会人8年目、迷わずMBAに進学

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私は社会人になってから一貫して営業部門で職務に携わり、地方の中小企業から上場企業、海外企業に至るまでさまざまな法人のお客様と関わらせていただきました。しかし、長くやっているうちに、営業という一つの職務だけではなく、経営全般に広く関われる仕事がしてみたいと思うようになったんです。会社内でのジョブローテーションを待つだけだと、いつそのような仕事に就けるかわからなかったので、そういう仕事ができるような知見を自分で身につけたいと思うようになりました。また、以前から経営学を体系的に学問として学んでみたいという思いもずっとあり、社会人8年目のここでと思って、迷わずMBAに進学しました。

一橋大学は、歴史的背景から見ても、国の産業振興のためにビジネス分野に優れた人材を育ててきた大学であり、実業界、学術界共に活躍されている方が多くおられます。そうした伝統のあるビジネススクールで学ぶのは、自身の誇りになるかなと思いました。経営分析プログラムを選んだ理由は、全日制で学業に専念して深く学べること、確かな分析力・思考力が磨けること、社会人・新大卒・留学生といった学生の間に多様性があるからです。入学説明会の模擬講義にも参加しましたが、理論もしっかり学べたり、より学問に基づいているという雰囲気を感じられたので、直観的に一橋が良いなと思いました。入学してみて想像していた通り。いろんなバックグラウンドや経験、価値観を各自が持っていて、一緒に議論をしたり、グループワークをして互いに学び合えることが多いです。それこそ新卒や5年一貫の学生は、年齢がひと周り違うので、彼らがこれから社会へ出ていくにあたってどういう風に考えているかとか、どんな価値観を持っているかということを話してみると、皆さん意識が高く、自分にもいろいろな気づきがあったりします。新卒や5年一貫生は社会人に対してアカデミックな知見を、社会人は学生に実務経験に基づいた実社会での考え方をそれぞれ与えあって、互いに学び合っている印象です。そのような学び合いこそ、多様性ある経営分析プログラムならではの価値だと思います。

日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)に参加

M2のワークショップは会計学で、加賀谷哲之先生(経営管理研究科教授)にご指導いただいています。今はM2が始まったところで、自分の研究の方向がまだ定まっていない中、先生や仲間にフィードバックをいただきながらなんとかやっているところです。研究テーマとしているのは日本企業におけるIR活動の在り方についてです。近年株主価値を意識した経営の推進を標榜する日本企業が増えている中、企業と株主の関わり合いや対話がますます重要となるため、IR活動は企業経営の中でも重要なアクトの一つであり、そのあるべき姿について探求することに意義を感じています。

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左から二番目

課外活動としては、M1の時に日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)に参加しました。これは架空企業のケースを基に、ビジネス上の課題に対するソリューションを提案するコンペティションです。参加した時のテーマは、とある企業の中期経営計画の作成。事業戦略から全社戦略、財務戦略、ESG対応等、経営学に関わる知識を総動員して考える必要があり、M1の春夏学期に学んだ経営戦略や財務会計の知識を実践的にアウトプットして定着させる良い機会になりました。社会人と新大卒の混合メンバーで挑み、本選出場まで果たして優勝を目指しましたが惜しくもかなわず。ですが、一緒に学ぶ仲間と何かに打ち込んだいい経験と思い出が得られました。

後輩へのメッセージ

学問的な知見をじっくりと学ぶことができ、ビジネスに生かせる素養も身につけられるのはフルタイムMBAの一番の利点だと思います。ビジネスにおいて、課題を解決し、利益を得て、社会に貢献する上で経営学の理論を知っているのと、知らないのではパフォーマンスが大きく違ってきます。実際の仕事を通じて経験則から身につけていくこともできますが、経営の本質を実務の中だけで学ぶことは難しいです。経営の普遍的な理論に基づいた本質的なところを学べるというのは、一橋のMBAプログラムならではです。実務で成果を出していくことももちろん大事ですが、マネージャーになって、さらに昇進して経営者になるという時に、経営の理論的なところを押さえておく必要があります。今までやってきた実務経験で業務への対処はもちろんできると思いますが、会社や組織全体のかじ取りをしていく際には、従業員、顧客、株主、地域社会といろんなステークホルダーも関わってきます。それらすべてに適切に応えていくためには、体系的に経営の本質的なところを知っておく必要があるからです。

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同期の仲間たちと

企業の人材育成のベースとなっているOJTで優秀な管理者にはなれるでしょうが、優秀な経営者になれるかというと別問題になってくると思います。たぶんOJTだけでは限界があるので、だからこそリスキリングもやりましょうという話が近年よく言われますよね。リスキリングをやってみたいという人はたくさんいますが、何をしたら良いか分からない方も多いと思います。英語や簿記といった資格勉強など、キャリアアップを目指して励むことももちろん素晴らしいと思いますが、やはりビジネスの分野で広く生かせるスキルとして、普遍的に通じるのは間違いなく経営学だと思います。それがキャリアの土台になれば良いですし、そういう意味では経営戦略から会計・ファイナンス、マーケティングと経営学の領域を網羅して学べるMBAには大きな価値があると考えています。

私は修了後にはここで学んだことを生かして、会社経営の中核機能に関われる仕事がしてみたいです。特にこれまでの実務では経験のなかった財務やIRなどで、MBAでの知見を携えて挑戦してみたいと思っています。ですが、アカデミアがもっと面白いなと思ったら、研究者の道を目指すこともあり得るのかも知れません。自分はどちらが向いているかというのは、M2の学びの中で見極めてから決めていこうと思っています。

(2025年6月)

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