HUB-SBA MAGAZINE

2025年度ハノイ海外研修プロジェクト報告

2026年03月12日

1月19日~23日の日程で、経営分析プログラムの学生を対象とした海外研修が行われ、学生10名と教職員4名がベトナム・ハノイを訪問しました。本研修プロジェクトは、経営管理研究科が主催し、三枝匡経営者育成基金から一部支援をいただき実施しているものです。本研修では、ASEAN諸国の一角として成長が期待されるベトナムの首都ハノイを訪れることによって、経済発展の実際を体感するとともに、日系企業および現地企業・大学等における交流を通じてグローバルな事業展開・人材育成の要諦に関する理解を深め、将来グローバルに活躍する経営人材となるための能力を涵養することを目的としています。

主な訪問先

如水会ハノイ支部 / AN DINH CO., LTD. / ダイキン エアコンディショニング ベトナム / ハノイ貿易大学 / 国際協力銀行(JBIC) / AEON Mall Long Bien

ベトナムは、近年、高い経済成長を続ける新興国であり、特に地政学的リスクを踏まえた国際的なサプライチェーン再編の受け皿として注目されています。また、製造拠点としてだけではなく、経済成長に伴う内需拡大による消費市場としても期待されています。一方で、制度やインフラの整備という面では発展途上の側面を残しています。

研修初日は、一橋OB会である如水会ハノイ支部の先輩方との交流会がありました。ベトナムの経済や社会の概観、現地在住者ならではの視点から現在のベトナム像について伺いました。高い経済成長率や2045年までに先進国入りするという政府目標により力強い成長ぶりを示していることや、それを支えるベトナム人の勤勉さや向上心の高さについてお話しいただきました。一方で汚職など社会規律にはまだ課題があるといった一面も伺いました。

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AN DINH CO., LTDにて

2日目の午前中には、地元資本の民間企業として米生産を中心とする農業法人であるAN DINH CO., LTD.を訪問しました。この企業の特徴は、国内約1万軒の農家に対して種子の提供から栽培指導までを行っているところです。以前は輸出用のジャポニカ米を中心としていましたが、現在は国内向けに高品質なインディカ米も手がけているとのことで、貿易中心から内需拡大による成長を遂げるベトナム経済に対応した変化が感じられました。

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ダイキンベトナム工場にて

午後からは、ダイキン エアコンディショニング ベトナム社を訪問しました。ダイキン工業は市場があるところで生産するという「市場最寄化生産戦略」をとっており、ベトナムにも工場を構えています。同社のエアコンは、高温多湿のベトナムにおいて湿度コントロールに強みを持ち、顧客から高い評価を得ているとのことでした。

3日目の午前中は、ハノイ貿易大学にて、グエン・ティ・ビック・フェ先生(ビジネス日本語学科長)の日本語講義に参加して学生たちと交流しました。同大学は、単なる語学教育に留まらず、ビジネス界で即戦力として活躍できる優秀な人材の育成を重視しています。卒業後の進路としては日系の商社やIT企業を目指す学生が多いものの、近年は現地有力企業の賃金水準も日系企業と遜色ない状況になりつつあるといいます。韓国や中国の企業も賃金を引き上げており、人材の獲得競争が起きているとのことでした。転職が当たり前とされるベトナムの労働市場において日系企業の強みは何か、ということを考える機会となりました。

午後に訪れた国際協力銀行(JBIC)では、ハノイ首席駐在員の安居院徹氏からベトナムにおける経済動向に加え、特にエネルギー分野におけるJBICの支援活動について教えていただきました。さらに、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想を推進するために立ち上げた、日越官民の現地ワーキングチームの活動状況について伺いました。ベトナムにおいてJBICが果たしている役割の大きさと意義について、深く学ぶことができました。

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ハノイ貿易大学の学生たちと交流
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JBICハノイ駐在員事務所にて

研修を終えて

今回の研修を通じて、ベトナムが低コストの生産拠点からグローバルサプライチェーンの戦略拠点に変化しつつあることや、内需へのシフトによるダイナミックな成長を間近に感じることができました。そうした中で、日本企業が取るべき戦略を参加者それぞれが自分なりに考える良い機会となりました。また、成長の陰で課題となっている制度整備に協力する日本の貢献を知る一方で、労働市場では日本企業のプレゼンスが相対的に落ちてきていることに、参加者は強い課題意識を持ちました。現地での見聞を通じて得られた視座や学びが、研修参加者のキャリアに生かされることが期待されます。

【関連記事】
・国際協力銀行 訪問紹介記事
・ハノイ貿易大学ビジネス日本語学科長 グエン・ティ・ビック・フェ先生

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