受講生の声

文 汎周さん
(2017年度入学)

日本に特化した専門家を目指す

なぜHMBA(現、経営分析プログラム)に進学されたのでしょうか

西江大学校で経済学を学び、在学中に韓国の公認会計士試験に合格しました。その合格直後に交換留学生として一橋大学で半年間学びました。その後は、韓国に戻って監査法人に就職し、2年間働きました。韓国に進出している日本企業への監査をしていましたが、学部での専攻が経済学だったため、もっと経営について学びたいと思うようになりました。当時は日本企業についての知識も足りませんでした。当時は旭硝子とアサヒビールが同じ会社だと思っていました...(笑)。会計士として、日本の会計基準を勉強したい希望もあって、かつて留学した一橋のHMBAに進学しました。

入学後はどのようなことを学んできましたか

入学後には留学生プログラムに所属し、最初の半年は集中的に日本語を学びました。このプログラムには、経営学で使われる日本語や、日本経済新聞で使われる慣用句など、普通の日本語学校では学べないような実用的な授業があります。専門の科目については、経営戦略、マーケティング、企業財務、金融リスクマネジメントなど、4分野をまんべんなく受講しました。なかでも印象に残っているものは国際金融の授業です。当時は厳しくて嫌でしたが、ここで学んだ回帰分析がその後ワークショップレポートを作成する際にとても役立ちました。2年次のワークショップでは、IFRS(国際財務報告基準)導入によって、近年増加している日本のプロフォーマ利益(任意開示の利益数値)開示と株価との関連性を研究しています。

HMBAのプログラムを通じて、自分がどのように変わったと思いますか

ワークショップでは、先行研究の仮説をまねるのではなく、自分でデータベースを直接作りながら、利益の情報開示と株価の関係を仮説を構築して明らかにしようとしています。アメリカでの先行研究では、計算根拠がある場合には株価にプラスの影響があるとされているのですが、自分の分析では逆の結論が出ました。この場合、先行研究の仮説が間違っているのか、自分の分析が間違っているのか、両方の可能性があります。いろいろと悩んで試行錯誤する中で、論理的に考える能力がついてきたと思います。また在学中に日本のコンサルティング会社で一ヶ月間インターンシップに参加することができました。そこで日本の会社員生活と日本企業の文化を体験できたことで、日本に対する理解がいっそう深まりました。

現時点でどのようなキャリアプランを描いていますか

韓国の監査法人に戻って、日本企業の監査を続けたいと思います。マネージャになれば顧客企業の日本本社とのコミュニケーションも重要になります。韓国には日本語ができる公認会計士はたくさんいますが、日本で経営を勉強した人はあまりいません。日本市場に特化した専門家として、その点を自分の強みにしたいと思います。日本についても、留学前に自分が想像していたこととは大きな差がありました。海外でインターネットで情報を集めて、知った気でいることとはずいぶん違います。直接、体験しながら勉強することがこんなにも重要なことだとは知りませんでした。今後も自分の視野を広げられる機会があれば、ぜひ挑戦してみたいと思います。

(2018年11月12日)