受講生の声

溝渕 光太郎さん
(2020年度入学)

経営の知見だけでなく、書く力や考える力
ベーススキルの底上げで、キャリアを拓く

少人数制ならではの、先生方の手厚いフィードバック

前職での経験を通じ、「皆が業務満足と生産性を両立できるような社会・職場環境を実現すること」が自分のキャリアゴールと考えるようになりました。そこで人事職に就こうと転職活動をスタート。数社から内定をいただいたのですが、転職活動中に組織論や人材マネジメント論の本を読んでいく中で知的好奇心が湧いてきたのです。また、私は元々理工学部卒で、組織だけでなく財務や戦略、マーケティングの知見にも疎かったのでそれらを学ぶ必要性も感じていました。実際、組織のことだけに詳しくても優秀な人事になれるとは思いません。そう考えていったん企業を辞め、経営学を基礎からみっちり学べる一橋ビジネススクールに入学しました。

入学して感じたのは、先生方のフィードバックが手厚いということ。レポート返却は勿論のこと、私が質問のメールを送ると、お忙しいにもかかわらず、数時間後にはリッチな内容の返答をくださいました。また、優秀で意欲に満ちた同期の存在も大きかったです。重厚な課題を受け身でこなすのではなく、皆さん自発的に復習を行い、知見を自分のものにしようという意欲にあふれていました。同期のそういう姿を近い距離で見ているからこそ、常に「自分の学び方はまだまだ甘いんじゃないか」という意識をもって課題に向き合えています。少人数制ならではの良い環境です。

相手に一義的に伝わる文章力を鍛えることができた

印象に残っている授業は、入学直後に行われた熊本方雄先生の「古典講読」です。経営学の古典を毎週1章ずつ読み、要約および小論文という2つのレポートを書くのですが、私はシビアな指摘を受け続けました。内容を精読できていないという指摘もさることながら、「この接続詞の『が』は順接なのか逆説なのか。読み手の解釈が混乱するので修正を」といった細部まで徹底的に文章の書き方について指導頂きました。入学直後に鍛えられた文章力は、その後、他の科目でレポートを書く際の礎になりました。コロナ禍に伴うテレワークの増加やチャットやSNSの台頭で、文章によるコミュニケーションが増える中、読み手に一義的に伝わる文章を書く力は、これからの時代ますます重要になってくるスキルだと思います。

また、藤原雅俊先生の「戦略分析」では、毎週1〜3冊の本を読んでレポート提出とケースディスカッションを行いました。毎週数百ページの書籍を読むわけですから当然負荷は重いです。私は、この科目は筋トレのようなものだと感じました。最初はその負荷の重さに脳が筋肉痛になりましたが、取り組み続けるうちに経営分析の手法が身に付いてきて負担を感じなくなりました。また、経営の成功失敗の要因を考察する際に、ただ要因を列挙していくのではなく、それらの要因がどのようなメカニズムで循環しているのかを考えるように、思考の癖を切り変える訓練を積むこともできました。書く力、考える力。これらの力を鍛えられたことは、今後の私のキャリアを末長く支えてくれると確信しています。

経営学の理論やフレームワークを知識として得るだけであればビジネス本を読めば済む話です。それらをただ知っているだけの状態から、使えるように時間をかけて訓練すること。そのために必要なベーススキルの底上げを行うこと。こういった部分がビジネススクールで学ぶことの付加価値だと思います。


(2021年1月掲載)