HUB-SBA MAGAZINE

ワークショップレポートを振り返る―経営分析プログラム修了者座談会(2023修了者)―②

2024年04月18日

2023年度3月に経営分析プログラム(MBA)を修了された、企業派遣の内田光さん、金グリンさん、西尾紀彦さん、山越千佳代さんに、「ワークショップレポートを振り返る」というテーマで、ワークショップ担当教員の坪山雄樹准教授より、MBAの総括と後輩の皆さんへ向けたメッセージを伺いました。研究テーマを見つけるところから、苦労したこと、完成した時の達成感、そして経営分析プログラムの学びを経ての今後の抱負などについて、大いに語り合い、楽しい座談会となりました。


 

img_blog20240415_21.jpg

――(坪山)2年次のワークショップでは、皆さん個別の研究プロジェクトを進めるので、発表者本人はやる気があるけれど周りの人は他人の研究にはそれほど興味がなくて、ゼミの場では教員と発表者の1対1の相談になってしまうのではないかと当初は心配していました。が、蓋を開けてみると皆さん非常に積極的に他の方の発表にコメントされていて、しかもそのどれもが的を射たもので、私はほとんどコメントをする必要がないなと感じたものです。ただ、これは自然にできるものではないだろうなと思います。皆さんはどんな意気込みで毎回のワークショップに臨んでいたのでしょうか。

西尾さん
このワークショップには、社会人歴がある仲間が集まっていたということもありますね。修士2年になると研究が中心で、クラスメイトに会う時間も少なくなります。ワークショップで仲間と対面で会うというのは貴重な時間で、せっかく時間を共にするのだから、そこでコメントをしないのはもったいないですよね。ただその場にいるだけでは、相手にも自分にも失礼に当たるとも思っていました。

金さん
私のコメントで皆さんが助かっていると思ってくれていることを、皆とのコミュニケーションの中で知ることができました。授業が終わった後に、さっきはコメントありがとうございましたなどと言ってくださり、役に立っているのであれば、頑張って発言しようと思いましたね。

内田さん
私は授業に出席すれば他の人の研究も知ることができるので、単純に気になったから質問するという感じでしたよ。

――(坪山)最終的にワークショップを仕上げるまでの苦労や、ワークショップの外で助け合ったことなどありますか。

内田さん
仕上げるまでの苦労は、まとめ方ですね。興味本位で走っていましたし、早めにインタビューをしたけれど、どうやってまとめるかは準備が整っていませんでした。話を聞いたのはいいが、その中から何を切り出すのか本当に分からなくて、提出期限の迫る年末年始で章立てを変えたりとか、 理論を組み替えたりとかギリギリのところまで、もがき苦しんでいましたけれど、そこでもうひとつ学ぶことができたなと思います。

img_blog20240415_22.jpg

西尾さん
研究を進めていくうえで、いくつか大きな山がありました。私の研究では格別の新規性があったというわけではなかったので、目指したのは可能な限り多くのアンケートを集め、説得力の高い研究を行うということでした。その結果、当社社員から1,000件超のデータを集めることができましたが、分析フェーズでは自身の仮説に対して何のデータ分析をしたかったのかが途中でよく分からなくなり、四苦八苦しました。ですが、データ分析に強い内田さんがアドバイスをしてくれましたし、本当に皆さんに助けられ完成させることができました。

山越さん
研究過程で印象深いのは、会社を退職した若手社員たちへの20件のインタビューのまとめ方が大変だったことです。ただ退職した理由を並べるだけでは単なる調査になります。それらをどういう概念で説明するか、どういうフレームワークにのっとって解釈するのかなど、学術論文として成り立たせるというのがすごく難しかったです。坪山先生からこういう理論があるから見てはどうかと的確なアドバイスもいただきました。先生や皆さんとの会話の中でいろんなヒントを得て、それですごく助かったと思います。

――(坪山)二年間の学びを経て得たもの、今後の抱負などお聞かせください。

西尾さん
MBAを修了し、4月からは人材育成をする部門に戻ります。人事部では、「人的資本経営の観点からのキャリア自律をどう進めるか」という点を担っていくことになるので、HUB(一橋ビジネススクール)で研究してきた自身のテーマを実務で生かすこともできます。また、2年間会社から離れることができ、外から自分の会社を考え俯瞰する時間にもなりましたし、このメンバーからも自分の会社がどう見えているのか教えてもらいました。そういった意味で、経営の知識以上に視野が広がったというのが大きな収穫だったと思います。今度は、HUBに当社社員を送り出す立場も担うことにもなるので、自分の経験をもとにアドバイスしていきたいですね。

内田さん
MBAを修了し、仕事に戻っていますが、今非常に反省しているのは、常に湧いてくる仕事をこなすだけの状態に入り始めてしまっているということです。日々とりあえず回していかなければならない中で、これではいけないとまさに今感じているところです。どうしても業務ばかりに視野が狭められてしまうので、定期的に今どういう状態かというのを振り返る機会を設定しておこうと思っています。考え方はもちろん、社内の会話では、だいたい聞いたことがある言葉が使われていて、それは非常に良かったなと思っています。これからは学んだことをちゃんと使えるように、自分の気持ちもそうですし、意識していく。そして、それが陳腐化して行かないように、学ぶことをずっと続けていきたいなと思います。

img_blog20240415_23.jpg

金さん
今までのキャリアは事業に近いところよりは、コーポレートの立場で会社全体を俯瞰して、方針を考えるような仕事を長年やってきました。MBAを経験してからは、事業に近い立場で仕事がしたいという気持ちが強くなったことが大きな心境の変化だと思います。会社に戻り、引き続きコーポレート組織にはなりますが、自分が世の中に役立つものを提供するとか、誰かを助けるということをやって対価をもらうような仕事をしたいです。一橋MBAを出たからには社会貢献や経済的な貢献など、できるようになりたいと思っています。

山越さん
2年間を振り返ると純粋に大変だったのですが、本当に良い時間を過ごしたなと思います。これからの社会人生活だけでなく、自分の人生の中でも財産になるような2年間だったと思います。優秀な皆さんと密に関わって、自分の視野が広がり新しい考え方ができるようになりました。思考の引き出しを生かして今度は実務の世界で学んだことを磨いていく、そう心がけ、会社にもこの良い二年間の恩返しをしていきたいなと思います。

 

HUB-SBA MAGAZINE