2022年10月11日
国立キャンパスの全日制MBA「経営分析プログラム」は2018年度にスタートしました。多様性を尊重し、様々な特色を持つこのプログラムの魅力について、「戦略分析」を担当する藤原雅俊教授に聞きました。
――経営分析プログラムの強みはどんなところにあると思いますか。
経営分析プログラムは、一橋ビジネススクール(HUB)の中の全日制MBAコースです。授業は主に国立のキャンパスで行なわれ、社会人経験者、企業派遣の社会人、学部を卒業したばかりの受講生(以下、新卒生。5年一貫生*含む)、そして留学生が机を並べて学んでいます。講義は日本語が中心ですが、グローバル社会での活躍を期待して英語科目も用意しています。
この経営分析プログラムの最大の強みかつ特徴は、深い思考に耐えられるだけの時間と材料に恵まれている点です。金融、会計、経営、マーケティングそれぞれの講義で、時間があるからこそ取り組める課題を用意しています。受講生もまた、それらの課題にできる限りの時間をかけて取り組んでいます。
特に社会人の方々は、入学まで忙しい日常を送っていたでしょう。一つひとつの経営現象を、原理原則にまで深く掘り下げ、その上で本質的な施策を検討することが非常に難しかったと実感されている人も少なくないはずです。ですからこの経営分析プログラムの2年間で深い思考の場にどっぷりと浸かっていただき、原理原則について深く考えるという経験を積んでもらいます。
ヤマト運輸の経営者であった小倉昌男さんは「経営は論理」とおっしゃっています(『小倉昌男 経営学』)。私もその通りだと考えています。経営が論理である以上、その論理を丁寧に紡ぐために深い思考の場が必要だと思うのです。
――深く思考しないと、どんなことが起きますか。
十分に思考しないと、たとえば、様々な他社のベストプラクティスを鵜呑みにして、横滑りさせて施策とするようなことが起きてしまいます。早く結果を出さなければならないというプレッシャーにさらされていればなおのことです。また、最近はDXという言葉がよく使われますが、こうした流行りの施策については手段が目的化しがちです。それでは経営はうまくいきません。そうならないためには、DXは手段であると改めて認識し、何のためにその手段を用いるのかをしっかりと考えるべき、つまり原理原則に立ち返るべきです。
経営は、流行に飛びつけばいいというものではありませんし、ただ他社の成功事例を真似ればいいというものでもありません。個別の事例がなぜ成功したのかを一つひとつ考え、そこから経営の本質に迫る論理を見出し、その上で、では自分たちはどうするのかを考え、決めていく必要があります。
*5年一貫生
一橋大学商学部・大学院経営管理研究科では、優秀な学部学生に対して、学部入学時から数えて最短5年間で、①4年目の学士課程修了時に与えられる学士号と、②5年目の修士課程終了時に与えられる修士号、の両方を取得できるプログラムを提供している(学部・修士5年一貫教育プログラム)。修士課程として選べるのは「経営分析プログラム」と「研究者養成コース修士課程」のどちらか。