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経営分析プログラム「導入ワークショップ」・「基礎ワークショップ」の総括

2024年02月19日

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昨年度まで経営分析プログラムの演習科目として、春夏学期に「古典講読」が開講されていましたが、2023年度よりカリキュラムが変更され、春夏学期に「導入ワークショップ」、秋冬学期に「基礎ワークショップ」が開講されることになりました。2023年度は、1クラス12名の3クラスに分かれ、行われました。

「古典講読」では、経営学や経済学における古典的名著を精読することを通じ「論理的に考える・書く・説明する」能力を涵養することを目的としていました。「導入ワークショップ」、「基礎ワークショップ」では、これに加え、社会科学的な問いの立て方や調査・分析方法を学び、最終的には「ビジネスと社会的課題」の視点から調査・分析する能力を涵養することを目的としています。これはM2に進級した後、ワークショップレポートの執筆を円滑に進められるようにすることを意図したものです。

具体的には「導入ワークショップ」においては、講義の前半で、グループワークにより2冊の共通テキストを輪読し、社会科学的な考え方・書き方を学びました。後半では、各グループで「ビジネスと社会的課題」の視点からテーマを設定し、研究計画書を作成することで、問いの立て方や調査・分析方法に関する学びを深めました。その後、各クラスで発表会を行い、優秀チームを選抜し、最終講義では、全体発表会を行い、選抜された3グループが報告しました。また、全体発表会には、M2より選抜されたコメンテータ2名が参加しコメントを行いました(「導入ワークショップ最終報告会」についてはこちらを参照)。優秀グループ以外の研究テーマも、いずれも独創性があり、その柔軟な発想に感心しましたが、その一方、テーマと分析方法の整合性や、データの入手可能性、分析方法の実行可能性といった点において問題もあったと思います。

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「基礎ワークショップ」においては、講義の前半で、グループワークによりテキストを輪読し、より詳細な調査・分析方法として、因果推論に基づいた実証分析や、事例研究、インタビュー調査、調査票調査、言説分析などの方法を学びました。後半では、「導入ワークショップ」の経験を踏まえ、各グループで、もう一度最初からテーマを再設定し、講義前半の内容を踏まえた調査・分析を実践し、研究レポートを作成しました。その後、「導入ワークショップ」と同様に各クラス内での発表会を経て、最終報告会を行いました(「基礎ワークショップ最終報告会」についてはこちらを参照)。優秀グループ以外の研究も「導入ワークショップ」での経験が活かされており、学術的にも実務的にも意義の高い研究テーマを設定し、これと整合的な分析方法を用い、地に足の着いた研究を行っていたと思います。是非、この経験を来年度のワークショップレポートの執筆に活かしてほしいと思います。

また、最終報告会では、M2より選抜されたコメンテータが適切なコメントやアドバイスを行っていましたので、教員の出る幕はなく、M2の学生の成長を頼もしく、また嬉しく感じました。経営分析プログラムの特長の一つとして、グループワークを通じた横のつながりが深まることがあります。また、これに加え、昨年度までの「古典講読」では、2名のM2の学生がTAとして、要旨の添削や報告に対する助言を行い、また、そのノウハウが代々継承されることで、縦のつながりも深まることがありました。「導入・基礎ワークショップ」ではTAはつかなくなりましたが、最終報告会でM2のコメンテータが、自らが培ってきた知見をフィードバックすることで、今後もこの縦のつながりが継承されていくものと期待しています。

文責:経営管理研究科 熊本方雄

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